第75章

「データを出して!」

葵の声は大きくなかったが、ナイフのようにシェルターにいる全員の鼓膜を突き刺した。

春はまだ目元を赤くしていたが、指は本能的にキーボードを叩いていた。

「読み込みログはここだ……いや、めちゃくちゃすぎる」

モニターには、断片化された記憶データが溢れ返っている。病室、旧公文書館、零号機、父の声、鈴木が倒れた時の血、そして圭治の笑み。

和也は傍らに立ち、ひどく青ざめた顔で言った。

「あいつが君の記憶を読み取ったのは、何のためだ?」

葵はモニターを見つめたまま、そっと胸元を押さえた。そこには、生物コアが起動した後の焼け付くような痛みがまだ残っている。

「盗むため...

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